自動車税を支払った後に車を売却することになった場合、「支払った税金はどうなるの?」「損することはないの?」と不安に思う方も多いでしょう。実は、自動車税支払い後の売却でも、適切な知識があれば還付金を受け取ったり、買取額に上乗せしてもらったりできる可能性があります。
この記事では、自動車税支払い後の車売却における還付金の仕組みから、損をしない売却方法まで、編集部の取材と実体験をもとに詳しく解説します。最後まで読めば、安心して車売却を進められるでしょう。
【結論】自動車税支払い後でも還付相当額は受け取れる
まず結論からお伝えすると、自動車税を支払った後でも、車売却時に還付相当額を受け取ることは可能です。ただし、売却方法や時期によって取り扱いが異なるため、正しい知識を身につけることが重要です。
自動車税還付の基本的な仕組み
自動車税は、毎年4月1日時点の車両所有者に支払い義務がある税金で、4月1日から翌年の3月末までの12ヶ月分を一度に前もって支払うため、車を譲渡する場合は、譲渡後から3月までの自動車税が戻ってくることがあります。
自動車税還付の2つのパターン
売却方法 | 還付方法 | 受け取り先 |
---|---|---|
廃車(抹消登録) | 法的な還付制度 | 自治体から直接還付 |
車売却(譲渡) | 買取業者による上乗せ | 買取価格に含む |
譲渡、すなわち売却においては、法的に自動車税が還ってくる制度は存在しません。しかしそれでは前払いゆえに、車を売る人のほうが損をしてしまいます。そこで、買取を行う中古車販売業者などが残月分を買取価格に上乗せし、実質的な還付をおこないます。
自動車税の基本知識
自動車税とは
自動車税は、毎年4月1日時点で車検証上に記載されている車の所有者が納める税金で、5月31日までに納税するのが基本です。
2025年度 自動車税額表(主要排気量)
排気量 | 2019年10月1日以降登録車 | 2019年9月30日以前登録車 |
---|---|---|
1.0L以下 | 25,000円 | 29,500円 |
1.0L超~1.5L以下 | 30,500円 | 34,500円 |
1.5L超~2.0L以下 | 36,000円 | 39,500円 |
2.0L超~2.5L以下 | 43,500円 | 45,000円 |
2.5L超~3.0L以下 | 50,000円 | 51,000円 |
出典:各都道府県自動車税事務所
軽自動車税の特徴
軽自動車を所有している人は、自動車税ではなく「軽自動車税」を納めます。軽自動車税も4月1日時点で所有している車に対する課税でありますが、普通自動車よりも税額が優遇されていることもあり、還付制度が存在しません。
軽自動車税額
- 軽乗用車:10,800円(年額)
- 還付制度:なし
自動車税支払い後の車売却パターン別対応
パターン1:5月支払い後の売却
最も一般的なケース
5月に自動車税を支払った後、年度内(翌年3月まで)に車を売却する場合:
- 買取業者による還付相当額の上乗せ
- 売却月の翌月から3月までの月数分を計算
- 買取価格に還付相当額を上乗せ
- 計算例(2.0L車、8月売却の場合)
年間自動車税:36,000円 残存期間:9月~3月(7ヶ月) 還付相当額:36,000円 ÷ 12ヶ月 × 7ヶ月 = 21,000円
パターン2:3月の年度末売却
注意が必要なケース
3月末に車を売却する場合、名義変更のタイミングが重要になります:
3月中に名義変更完了
- 翌年度の自動車税負担なし
- 4月1日時点で新所有者が課税対象
4月をまたぐ名義変更
- 売却者に新年度分の納税義務発生
- 買取業者との契約内容で負担者決定
パターン3:廃車による売却
車の抹消登録が完了すれば、自動車税の還付金があるかどうかは自動的に確認されます。還付金がある場合は地方自治体から通知書が送られてくるのが一般的です。
廃車還付の流れ
- 抹消登録手続き(運輸支局)
- 1~2ヶ月後に還付通知書受領
- 指定金融機関で還付金受取
還付金の計算方法と受取方法
還付金計算式
自動車税還付金額 = 1年分の自動車税額 ÷ 12ヵ月 × 抹消登録の翌月から3月までの月数(100円未満切り捨て)
実際の計算例
例1:排気量1.8L車を7月に売却
2019年10月1日以降登録車の場合:
年間自動車税:36,000円
残存期間:8月~3月(8ヶ月)
還付相当額:36,000円 ÷ 12 × 8 = 24,000円
例2:排気量2.5L車を11月に廃車
2019年9月30日以前登録車の場合:
年間自動車税:51,000円
残存期間:12月~3月(4ヶ月)
還付金額:51,000円 ÷ 12 × 4 = 17,000円
還付金受取方法
廃車時の還付金受取
- 銀行振込:指定口座への自動振込
- 窓口受取:金融機関窓口での現金受取
- 買取業者委任:委任状による代理受取
廃車(抹消登録)等により自動車税の還付金が発生した際には、納税義務者の方に還付に関する通知書等を送付します。
車売却時の自動車税トラブル防止策
売却前の確認事項
1. 自動車税納税状況の確認 自動車税が未納の車は売却できません。買取時の手続きとして、売り主から買取店へ車の所有権を移す名義変更を行いますが、ここで必須書類のひとつとなるのが自動車税納税証明書です。
2. 買取業者との契約内容確認
- 還付相当額の取り扱い
- 名義変更の実施時期
- 新年度分の負担者
3. 名義変更完了の確認依頼
- 名義変更後の車検証コピー送付依頼
- 完了連絡の約束
売却後のトラブル対応
納税通知書が届いた場合
- 即座に買取業者に連絡
- 契約書の内容確認
- 名義変更状況の確認
もしそのまま自動車税を支払わないままにしておくと、遅延金や延滞金が発生してしまいます。
買取業者選びのポイント
信頼できる買取業者の特徴
1. 自動車税に関する説明が明確
- 還付相当額の計算根拠を提示
- 契約書への明記
2. 名義変更手続きが迅速
- 15日以内の名義変更約束
- 進捗報告の仕組み
3. アフターフォローが充実
- 名義変更完了の連絡
- トラブル時の対応窓口
編集部おすすめの確認項目
当編集部では、実際に複数の買取業者と取引した結果、以下の項目を必ず確認することをおすすめします:
契約前チェックリスト
- [ ] 還付相当額の計算方法と金額
- [ ] 名義変更実施予定日
- [ ] 新年度分の税金負担者
- [ ] 名義変更完了の連絡方法
- [ ] トラブル時の連絡先
時期別売却戦略
年度末(2月~3月)の売却
メリット
- 翌年度の自動車税負担回避
- 新生活シーズンで需要高
注意点
- 名義変更手続きの遅延リスク
- 買取業者の繁忙期
対策
- 早めの査定申込(2月上旬~中旬)
- 名義変更期限の明確化
年度中(4月~1月)の売却
メリット
- 還付相当額の上乗せ期待
- 手続きの余裕
注意点
- 還付相当額の確認必須
対策
- 複数業者での査定比較
- 還付相当額の明細確認
よくある質問と回答
Q1:軽自動車でも還付は受けられますか?
A:軽自動車は法的な還付制度がありません。
自動車税と異なり、軽自動車税には還付制度はありません。軽自動車も、4月1日の所有者に1年分(4月1日から翌年の3月31日まで)の軽自動車税がかかります。4月2日に廃車にしても、一切還付がありませんのでご注意ください。
ただし、買取業者によっては、サービスとして相当額を買取価格に上乗せしてくれる場合もあります。
Q2:自動車税を滞納していても売却できますか?
A:未納状態では売却できません。
売却前に必ず納税を完了させる必要があります。納税証明書がなければ名義変更手続きができないためです。
Q3:個人間売買でも還付相当額はもらえますか?
A:個人間売買では当事者間の協議次第です。
買取業者とは異なり、個人間売買では還付相当額の取り扱いについて事前に協議し、売買契約書に明記することが重要です。
まとめ:自動車税支払い後でも安心して売却できる
自動車税を支払った後の車売却について、重要なポイントをまとめます:
押さえておくべき5つのポイント
- 還付相当額は受け取れる:法的還付はないが、買取業者が買取価格に上乗せ
- 計算方法を理解する:売却月翌月から3月までの月割計算
- 軽自動車は還付なし:法的制度がないため買取業者のサービス次第
- 契約内容の確認が重要:還付相当額と名義変更時期を明確化
- 信頼できる業者選び:実績豊富で説明が丁寧な業者を選択
自動車税支払い後の車売却は、正しい知識があれば決して損することはありません。むしろ、還付相当額を適切に受け取ることで、次の車購入資金の一部にできます。
車を高く売りたい、早く売りたいとお考えの方は、まず複数の買取業者から査定を受けて、還付相当額の取り扱いについても比較検討することをおすすめします。適切な知識と準備があれば、安心して車売却を進めることができるでしょう。
※本記事の情報は2025年6月時点のものです。最新の税制や手続きについては、各自治体の自動車税事務所にご確認ください。