車の維持費負担を軽減し、将来の貯蓄にまわしたい夫婦必見! 2台持ちから1台への減車は年間40万円以上の節約効果がある一方、ライフスタイルによってはデメリットも。実体験を交えながら、賢い判断基準をお伝えします。
夫婦で車2台持ちの現状と課題
日本の自動車保有状況
自動車検査登録情報協会の資料によると、令和3年(2021年)3月末時点における、1世帯あたりの自家用乗用車(登録者および軽自動車)の普及台数は1.037台となっています。つまり、全国平均では1世帯につき約1台の車を所有している計算になります。
しかし、この数字は地域によって大きく異なります。自動車検査登録情報協会が発表した2022年度の「自家用乗用車(登録車と軽自動車)の世帯当たり普及台数」によると、富山県では1.652台と、1世帯で1.6台以上の車を保有しているのが現状です。
夫婦で車2台持ちが抱える問題
多くの夫婦が直面している車の悩みとして、以下のような点が挙げられます:
- 家計圧迫: 車2台分の維持費が月々の出費を大幅に増加
- 駐車場代の負担: 特に都市部では月額駐車場代が高額
- 保険料の重複: 2台分の自動車保険料の支払い
- 使用頻度の偏り: 片方の車がほとんど使われない状況
車2台の年間維持費を徹底比較
車を2台所有する場合の年間維持費について、具体的な金額を見てみましょう。
軽自動車の年間維持費
項目 | 年間費用 |
---|---|
軽自動車税 | 10,800円 |
自動車重量税 | 3,300円 |
自賠責保険 | 11,000円 |
任意保険 | 70,000円 |
ガソリン代(年間1万km) | 72,000円 |
車検費用(2年に1回) | 20,000円 |
メンテナンス代 | 15,000円 |
駐車場代(月1万円) | 120,000円 |
合計 | 約32万円 |
コンパクトカーの年間維持費
項目 | 年間費用 |
---|---|
自動車税 | 35,000円 |
自動車重量税 | 16,000円 |
自賠責保険 | 12,000円 |
任意保険 | 90,000円 |
ガソリン代(年間1万km) | 81,000円 |
車検費用(2年に1回) | 25,000円 |
メンテナンス代 | 23,000円 |
駐車場代(月1万円) | 120,000円 |
合計 | 約40万円 |
夫婦で2台所有した場合の総維持費
一般的な組み合わせである「軽自動車+コンパクトカー」の場合、年間維持費は実に「約86万円」もかかっている計算になり、かなりの負担額であることが分かります。
これは月額に換算すると約7万円の固定費となり、住宅ローンに匹敵する金額です。
夫婦で車1台にするメリット
経済的メリット
年間40万円以上の節約効果
実際に車を手放した夫婦の体験談では、車を手放してから約4年になりますので、417,005円×4=約170万円の出費を避けられたということになりますという大きな節約効果が報告されています。
投資・貯蓄への回し方
毎月かかっていた維持費(34,750円)を、毎月の積立nisaの限度額(33,333円)に回すことができました。車の維持費を投資に回すことで、お金を減らすだけでなく増やすことが可能になります。
健康面でのメリット
運動不足の解消
車を手放して徒歩(片道20分)で通勤するようになってからというもの、腰痛がかなり軽減されるようになりました。デスクワーカーにとって、日常的な運動機会の確保は重要な健康改善効果をもたらします。
集中力の向上
徒歩通勤するようになってからは仕事中も集中力が増し、かなり頭が回るようになったと実感しています。歩行による血流改善が脳の活性化につながるという研究結果もあります。
環境負荷軽減
車1台の削減により、CO2排出量の削減にも貢献できます。環境省のデータによると、自家用車1台あたりの年間CO2排出量は約2.3トンとされており、1台減らすことで家庭の環境負荷を大幅に軽減できます。
夫婦で車1台にするデメリット
利便性の問題
予定調整の必要性
自分がどこかに行きたいと思っていても、夫(もしくは妻)と予定がバッティングすることもあります。特に夫婦ともにアクティブな場合、車の使用スケジュール調整がストレスになる可能性があります。
緊急時の対応困難
子供の急病や緊急事態の際、車がないと迅速な対応が困難になるケースがあります。タクシーの手配や公共交通機関での移動では、時間的なロスが生じる可能性があります。
子育て世帯への影響
保育園・学校の送迎問題
園までが遠く、通園バスが出ない場合には、車での送迎がいいでしょう。特に地方では保育園・学校が遠く、車での送迎が必須となるケースが多いです。
悪天候時の困難
自転車でもやれないことはないですが、雨や雪の日には大変ですし、子供が濡れたり冷えたりして体調を崩す原因にもなります。
車1台で十分な夫婦の特徴
立地条件
以下の条件が揃っている夫婦は、車1台でも快適に生活できる可能性が高いです:
条件 | 詳細 |
---|---|
交通利便性 | 最寄り駅・バス停まで徒歩10分以内 |
商業施設 | スーパー・病院が徒歩圏内(500m以内) |
通勤環境 | 公共交通機関での通勤が可能 |
駐車環境 | 自宅に駐車場がある |
ライフスタイル
インドア派夫婦
夫婦どちらか(もしくは両方)がインドアであることが、車1台生活には合っていると思われます。休日の外出頻度が少ない夫婦は、車の使用頻度も自然と低くなります。
子育て終了世帯
子育てが一段落した50代以降の夫婦は、車の必要性が減少する傾向にあります。
収入状況
家計圧迫の回避
子供がいる家庭では、収入の約5~6%、子供がいない家庭では、収入の約7~8%が車の維持費の目安とされています。この割合を超える場合は、1台への減車を検討することが推奨されます。
車2台が必要な夫婦の特徴
地理的条件
地方・郊外居住
スーパーや病院、銀行などが自宅からかなり遠く、バスや電車もあまり通っていなくて不便な地域だと、車がないと本当に困るからです。
通勤距離の長さ
夫婦ともに車通勤で、かつ勤務先が異なる方向にある場合は、2台持ちが現実的です。
ライフステージ
小さい子供がいる世帯
小さい子供がいるご家庭だと車1台は難しいかもしれません。保育園の送迎、急病時の対応、買い物などで車の使用頻度が高くなります。
共働き世帯
夫婦2人とも結婚後も仕事をそのまま続けて、車がないと通勤にかなり不便な地域に住んでいるというケースもあるかもしれません。
職業・ライフスタイル
営業職・訪問業務
日常的に車での移動が必要な職業の場合、仕事用の車は必須となります。
介護・看護が必要な親族がいる場合
定期的な病院への送迎や緊急時の対応で、車が2台必要になるケースがあります。
車を1台手放す際の注意点
手放すタイミング
ライフイベントとの連動
- 結婚・引越し
- 転職・退職
- 子供の独立
- 親の介護終了
これらのタイミングで車の必要性を見直すことが重要です。
売却方法の選択
買取業者での査定がおすすめ
車を処分するなら中古車買取業者に査定、買取してもらうのがおすすめです。ディーラー下取りよりも高額での買取が期待できます。
複数業者での相見積もり
1社だけでなく、複数の買取業者で査定を受けることで、より高値での売却が可能になります。
残った1台の最適化
用途に応じた車種選び
2台から1台にする際は、残す車の用途を明確にし、必要に応じて買い替えも検討しましょう。
主な用途 | おすすめ車種 | 理由 |
---|---|---|
通勤メイン | 軽自動車・コンパクトカー | 燃費が良く、維持費が安い |
ファミリーユース | ミニバン・SUV | 乗車人数・荷物容量が大きい |
長距離移動 | セダン・ハイブリッド車 | 燃費と快適性のバランス |
車を手放す前のシミュレーション
1ヶ月間の試験期間
車を売却する前に、1ヶ月間片方の車を使わずに生活してみることを編集部では推奨しています。この期間で以下の点を確認しましょう:
- 日常生活での不便さの程度
- 代替交通手段の利用頻度
- 夫婦間での車の取り合い頻度
- 緊急時の対応方法
代替手段の確保
カーシェアリング・レンタカーの活用
月に数回程度の利用であれば、カーシェアリングやレンタカーの方が経済的です。
料金比較表
サービス | 料金目安 | 特徴 |
---|---|---|
カーシェア | 15分200円~ | 短時間利用に最適 |
レンタカー | 6時間5,000円~ | 1日単位の利用 |
タクシー | 初乗り500円~ | 緊急時・短距離移動 |
まとめ:賢い車の保有台数選択
判断基準の整理
車2台から1台への減車を検討する際の判断基準をまとめると:
1台でも問題ない条件
- 徒歩圏内に生活必需施設がある
- 公共交通機関が充実している
- 夫婦ともにインドア派
- 小さい子供がいない
- 車の維持費が家計を圧迫している
2台必要な条件
- 地方・郊外に居住
- 夫婦ともに車通勤必須
- 小さい子供がいる
- アウトドア派で休日の外出が多い
- 介護などで定期的な車の使用が必要
最終的な決断のポイント
家計の健全性を最優先
車の維持費をカットすることは、支出を抑えるだけではなく、将来的に家庭に必要なお金、子供の教育資金やマイホームの購入費などの貯蓄にも回せます。
柔軟な対応の重要性
ライフステージに合わせて、柔軟に対応していくのがいいかもしれませんね。一度決めた後も、状況変化に応じて再検討することが大切です。
編集部からのアドバイス
当編集部では、多くの読者から車の売却に関する相談を受けています。実際の経験から言えることは、「車を手放す不安」よりも「手放した後の経済的メリット」の方が大きいケースが多いということです。
ただし、無理な節約は生活の質を下げてしまいます。夫婦でよく話し合い、お二人のライフスタイルに最適な選択をすることが何より重要です。
車の売却を検討されている方は、まずは現在の車の査定額を把握することから始めてみてください。思った以上に高値がつく可能性もあり、それが決断の後押しになるかもしれません。
参考資料
- 国土交通省「自動車保有車両数統計」
- 一般財団法人自動車検査登録情報協会「自家用乗用車の世帯当たり普及台数」
- 環境省「家庭からの二酸化炭素排出量の推計に係る実態調査」