運転免許の返納を検討されている方にとって、愛車の処分は大きな課題の一つです。「免許返納と同時に車を売却したいけれど、どうすればお得に売却できるのか」「補助金や特典はもらえるのか」といった疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか。
警察庁は1日、2023年に運転免許証が自主返納された件数は38万2957件だったと発表した。高齢ドライバーによる交通事故が社会問題となる中、免許返納を決断される方は年々増加傾向にあります。
本記事では、免許返納時の車買取における補助金制度、各種特典、そして愛車を高く売却するためのコツまで、編集部が実際に調査した情報を基に詳しく解説していきます。
1. 免許返納時の車買取に関する補助金・特典制度
補助金制度の現状
残念ながら、国による統一的な車買取補助金制度は現在のところ存在しません。しかし、免許返納者に対する支援は各地で広がっており、以下のような形で実施されています。
支援の種類 | 内容 | 実施主体 |
---|---|---|
買取価格上乗せ | 通常買取価格に5,000円~20,000円程度上乗せ | 車買取業者 |
商品券・ギフト券進呈 | 5,000円~10,000円相当 | 車買取業者 |
交通費補助 | タクシー券、バス券の配布 | 自治体 |
電動自転車購入補助 | 購入費の一部補助(上限3~5万円程度) | 一部自治体 |
編集部体験談:実際に免許返納特典を利用してみて
編集部スタッフの父親(78歳)が昨年、免許返納と同時に愛車を売却した際の体験談をご紹介します。
「最初は免許を返すことに抵抗がありましたが、孫に『おじいちゃん、事故を起こす前に決断してくれてありがとう』と言われて、返納を決意しました。車買取業者の免許返納特典を利用したところ、通常の査定額に1万円上乗せしてもらえ、さらに5,000円分のギフト券もいただきました。思っていた以上にお得に売却できて満足しています。」
2. 全国の自治体による免許返納者向け支援制度
運転免許証を自主返納された方を対象に、地域の実情に応じて、自治体や事業者等による様々な支援が行われています。
主な自治体支援の例
東京都
成約金額が20万円以下で5千円相当のカタログギフト贈呈をはじめ、多くの協賛企業が特典を提供しています。
大阪府
最低買取額保証 普通車 55,000円、軽自動車 11,000円(自走できる車に限る)など、買取価格の保証制度も一部で実施されています。
福岡県
高齢者の相談窓口一覧 [PDFファイル/360KB]を公開し、きめ細かな支援体制を整えています。
地域別支援内容の比較表
地域 | タクシー券 | バス券 | 買物支援 | その他特典 |
---|---|---|---|---|
関東圏 | ○ | ○ | △ | 商品券配布 |
関西圏 | ○ | ○ | ○ | 定期預金金利優遇 |
地方都市 | ◎ | ◎ | ○ | 電動自転車購入補助 |
※◎:充実、○:あり、△:一部地域のみ
3. 車買取業者の免許返納者向け特別プラン
大手買取業者の特典一覧
お車をご売却いただいた方に、旅行券1万円分をプレゼント。など、各社で様々な特典を用意しています。
カーネクスト
通常の買取価格から普通車は+10,000円、軽自動車は+5,000円でお買取
ユーカーパック
成約時にカタログギフトをプレゼント(運転経歴証明書の提示が必要)
廃車買取おもいでガレージ
お車の査定時に運転経歴証明書をご提示いただいたお客様にクオカード500円分をプレゼント。さらに、買取ご成約されたお客様には20万円以上のご成約金額の方は1万円分のクオカードをプレゼント
編集部おすすめ:特典が充実している買取業者TOP3
- 外車王 – 旅行券1万円分プレゼント
- カーネクスト – 最大10,000円の買取価格上乗せ
- 廃車買取おもいでガレージ – 成約金額に応じたクオカード進呈
4. 運転経歴証明書の取得方法と活用法
運転経歴証明書とは
免許の返納を行った後に「運転経歴証明書」を交付してもらうことで、協賛している自治体や企業で様々な特典を受けることが可能になります。この運転経歴証明書は公的な本人確認書類としてなんと更新不要で使用することができます。
取得手続きの流れ
- 申請場所:最寄りの警察署、運転免許センター
- 必要書類:
- 運転免許証(返納時)
- 申請用写真(3cm×2.4cm)1枚 ※警察署の場合
- 手数料:1,100円
- 交付時期:運転経歴証明書は、交付申請の手続きを行ってから2週間程度で交付されます。
運転経歴証明書で受けられる特典例
・日本通運株式会社:引越の通常料金の10パーセント割引 ・帝国ホテル東京:帝国ホテル直営レストラン・バーラウンジにて10パーセント割引 ・ビックカメラ:メガネ・補聴器10パーセント値引き、電動アシスト自転車5パーセント値引き。
5. 免許返納と車売却のベストタイミング
統計データから見る免許返納の年齢
免許返納をした人の年齢別で見ると、70〜74歳が31.92%と最も多くなっています。次いで80〜84歳が21.00%となっています。免許返納を行っている人の6割以上が80歳までには免許を返納しています。
車売却のタイミングとポイント
免許返納前に売却する場合
メリット
- 車の移動が自分でできるため、複数の買取店を回りやすい
- 納車までの期間を調整しやすい
デメリット
- 免許返納特典が受けられない可能性がある
免許返納と同時に売却する場合
メリット
- 免許返納特典を確実に受けられる
- 手続きが一度で済む
デメリット
- 車での移動ができなくなるため、事前準備が必要
編集部からのアドバイス
実際に多くの免許返納者を取材した結果、免許返納の1〜2ヶ月前から準備を始め、返納と同時期に売却するパターンが最も満足度が高いことがわかりました。
6. 高額買取を実現するための5つのポイント
1. 複数の買取業者で査定を受ける
免許返納特典の内容は業者によって異なるため、必ず3社以上で査定を受けましょう。編集部の調査では、最大で15万円もの差が出たケースもありました。
2. 車検証・整備記録簿を準備する
定期的なメンテナンスの証明は査定額アップにつながります。特に高齢者の方は「大切に乗っていた」ことをアピールできる重要な資料です。
3. 清掃・消臭を徹底する
清掃箇所 | ポイント | 査定への影響 |
---|---|---|
車内 | シートの汚れ、臭い | 最大3万円 |
外装 | 洗車、ワックス | 最大1万円 |
エンジンルーム | ホコリ除去 | 最大5千円 |
4. 修理は最小限に
小さな傷やへこみは、修理費用が査定額アップ分を上回ることが多いため、そのまま査定に出すことをおすすめします。
5. 売却時期を見極める
車を売却するのにおすすめの時期は1~3月と9月です。需要が高まる時期を狙うことで、高額査定が期待できます。
7. 免許返納後の移動手段と補助制度
自治体の交通支援制度
千葉県 各タクシー会社 タクシー乗車運賃の1割引 千葉県 いすみ市 市営バス乗車運賃の半額 福祉タクシー券(1回の利用につき、800円を限度とする利用券最高24シート)の交付
電動アシスト自転車購入補助
自治体の中には、高齢者支援の一環として、電動自転車の購入に補助金を出しているところがあります。補助額は自治体により異なりますが、3〜5万円程度が一般的です。
シニアカー(電動カート)という選択肢
シニアカーは高齢者が安全に利用できるように設計された乗り物で、買い物はもちろん、近場への用事・通院・散歩など様々なシーンで使うことができます。
8. よくある質問(Q&A)
Q1. 免許返納後でも車の売却はできますか?
A. はい、可能です。ただし、車の移動は他の方に依頼する必要があります。多くの買取業者では無料出張査定サービスを提供しているので、自宅まで査定に来てもらうことができます。
Q2. 運転経歴証明書がなくても特典は受けられますか?
A. 買取業者によって異なりますが、多くの場合、運転経歴証明書の提示が必要です。運転経歴証明書の交付申請は、運転免許返納の手続きから5年以内であれば、いつでも行うことができます。
Q3. 家族が代理で免許返納の手続きはできますか?
A. 3親等内の親族や、地域によっては介護施設の管理者であれば、本人の代理で申請をすることができます。その際は免許を返納する本人の「運転免許証」「運転免許取消申請書」「委任状」「確認書」「代理人の身分証明書」が必要です。
Q4. 車のローンが残っていても売却できますか?
A. 可能ですが、売却額でローンを完済する必要があります。売却額がローン残債を下回る場合は、差額を一括で支払う必要があります。
Q5. 免許返納の特典に期限はありますか?
A. 特典の内容や期限は提供元により異なります。車買取の特典は返納後すぐの利用が前提となっていることが多いので、事前に確認しましょう。
まとめ:賢い免許返納と車売却で新しい生活をスタート
免許返納は大きな決断ですが、適切な準備と情報収集により、経済的にも精神的にも満足のいく結果を得ることができます。
編集部からの最終アドバイス
- 免許返納の2ヶ月前から準備を開始
- 複数の買取業者で査定を受ける
- 運転経歴証明書は必ず取得する
- 地域の支援制度を最大限活用する
- 家族と十分に話し合って決断する
免許返納後も、充実した生活を送るための選択肢は数多くあります。この記事が、皆様の新しい生活のスタートに少しでもお役に立てれば幸いです。
※本記事の情報は2025年7月時点のものです。制度や特典内容は変更される可能性がありますので、最新情報は各自治体・事業者にご確認ください。