〜現在使える制度から申請方法まで徹底解説〜
はじめに
運転に不安を感じ始めた高齢者の方にとって、安全性の高い車への買い替えは重要な決断です。しかし、経済面での負担が気になる方も多いのではないでしょうか。
実は、現在でも高齢者の車買い替えを支援する補助金制度が複数存在しています。本記事では、2025年最新の補助金情報から申請方法、お得に車を買い替えるコツまで、高齢者の車買い替えに関する情報を網羅的にお伝えします。
目次
- 高齢者の車買い替えが重要な理由
- サポカー補助金の現状
- 2025年現在利用可能な補助金制度
- 自治体別補助金一覧
- 高齢者向け車選びのポイント
- 補助金申請の手順と注意点
- お得に車を買い替える方法
- よくある質問
1. 高齢者の車買い替えが重要な理由
1-1 交通事故統計から見る現状
令和4年警察白書によると、高齢者ドライバーの死亡事故の原因は「ブレーキとアクセルの踏み間違い」「ハンドルの操作不適」であることがわかっています。また、75歳以上になると、工作物への衝突や路外への逸脱などの単独事故による交通死亡事故が増えることが明らかになっています。
1-2 車買い替えの3つのメリット
安全性の向上
加齢に伴う身体機能の変化に対応するため、最新の安全技術を搭載した車への買い替えは事故リスクを大幅に軽減できます。
| 安全装備 | 効果 |
|---|---|
| 衝突被害軽減ブレーキ | 前方の障害物を検知し自動でブレーキを作動 |
| ペダル踏み間違い急発進抑制装置 | アクセルとブレーキの踏み間違いによる急発進を防止 |
| 車線維持支援システム | 車線からの逸脱を防止し、安全な走行をサポート |
維持費の削減
古い車は燃費が悪く、修理費用もかさみがちです。一方で、新しい車は燃費が向上し、エコカー減税の適用を受けることもできます。そのため、長期的に見れば買い替えた方がコストを抑えられる場合もあります。
経済的支援の活用
国や自治体の補助金制度を利用することで、経済的負担を軽減しながら安全な車に買い替えることができます。
2. サポカー補助金の現状
2-1 サポカー補助金とは
サポカー補助金とは、2020年3月9日申請からスタートし、政府による65歳以上のドライバー交通事故防止対策の一環として補助金が交付される制度となっております。
2-2 サポカー補助金の終了
重要な情報：サポカー補助金は2021年11月29日に受付を終了しました。
サポカー（セーフティ・サポートカー）の購入を補助する「サポカー補助金」は、2021年11月29日に受付を終了しました。2023年もサポカー補助金は再開されず、今後再開されるかどうかについても不明です。
2-3 過去の補助金額
参考として、過去のサポカー補助金の内容をご紹介します：
| 車種・条件 | 補助金額 |
|---|---|
| 普通車（新車）+ 自動ブレーキ・ペダル踏み間違い防止装置 | 10万円 |
| 普通車（新車）+ 自動ブレーキのみ | 6万円 |
| 軽自動車（新車）+ 自動ブレーキ・ペダル踏み間違い防止装置 | 7万円 |
| 軽自動車（新車）+ 自動ブレーキのみ | 4万円 |
| 普通車・軽自動車（中古）+ 自動ブレーキ・ペダル踏み間違い防止装置 | 4万円 |
| 普通車・軽自動車（中古）+ 自動ブレーキのみ | 2万円 |
3. 2025年現在利用可能な補助金制度
サポカー補助金は終了しましたが、現在でも高齢者が利用できる車関連の補助金制度は複数存在します。
3-1 CEV補助金（クリーンエネルギー自動車導入促進補助金）
概要
CEV補助金（クリーンエネルギー自動車導入促進補助金）は、経済産業省が所管する補助金です。2050年カーボンニュートラルの実現に向けて、環境性能に優れた電気自動車（EV）やプラグインハイブリッド車（PHEV）などの購入に対して、補助金が交付されます。
対象車種と補助金額（2025年度）
| 車種 | 上限補助額 |
|---|---|
| 電気自動車（EV・普通車） | 最大90万円 |
| 電気自動車（小型・軽EV） | 最大58万円 |
| プラグインハイブリッド車（PHEV） | 最大60万円 |
| 燃料電池自動車（FCEV） | 255万円 |
申請期間
2025年2月現在、一般社団法人次世代自動車振興センターが執行団体として採択されています。なお、2025年度の具体的な申請期間や申請の流れについては決定しておらず、決定があり次第、一般社団法人次世代自動車振興センターのサイトで公表される予定です。
3-2 エコカー減税
厳密には補助金ではありませんが、エコカー減税を利用すると自動車取得税や重量税が軽減されます。これにより、新車購入時の負担を抑えることができます。
4. 自治体別補助金一覧
4-1 東京都
ZEV補助金
東京都に住所がある人は、「ZEV（ゼロ エミッション ビークル）補助金」を申請することができます。
申請期間： 令和7年4月28日〜令和8年3月31日
補助金額： 自動車メーカーごとに設定された基本補助金額に、V2Hや再生可能エネルギー電力導入による加算あり
| 車種 | 基本補助額 | 給電機能付き |
|---|---|---|
| 電気自動車 | 45万円 | 60万円 |
| プラグインハイブリッド車 | 30万円 | 45万円 |
| 燃料電池自動車 | 101.5万円 | 同額 |
4-2 愛知県
先進環境対応自動車導入促進費補助金
愛知県には、環境性能基準を満たすクルマを購入した事業者（条件あり）に対し、購入費を補助する制度があります。
申請期間： 2024年4月1日〜2025年3月14日
4-3 福岡市
次世代自動車の普及に向けた支援事業補助金
福岡市では、環境性能基準を満たしたクルマの購入費を補助しています。
申請期間： 2024年5月7日〜2025年2月28日
| 車種 | 補助金額 |
|---|---|
| 電気自動車 | 10万円 |
| プラグインハイブリッド車 | 5万円 |
| 燃料電池自動車 | 20万円 |
申請条件：
- 市内に1年以上住んでいる者
- 市内に事業所を有する個人事業主や法人
- リース会社
- 自治協議会
4-4 その他の自治体
多くの自治体で独自の補助金制度を実施しています。地方自治体によっては、高齢者向けの特別な補助金を用意していることがあります。例えば、「高齢者の安全運転支援装置付き車両購入補助」や、「免許返納者向けの交通支援制度」といった施策が実施されている地域もあります。各自治体の公式サイトを確認することで、最新の補助金情報を入手できます。
5. 高齢者向け車選びのポイント
5-1 安全装備の充実
高齢者向けの車選びで最も重要なのは安全装備です。以下の機能が搭載された車を選ぶことをおすすめします：
必須の安全装備
衝突被害軽減ブレーキ（自動ブレーキ） 前方の車両や歩行者を検知し、衝突の危険がある場合に自動でブレーキを作動させます。
ペダル踏み間違い急発進抑制装置 アクセルとブレーキの踏み間違いによる急発進を防止する機能です。
車線維持支援システム 車線が見えにくい天候の時などでも利用できるのがポイントでしょう。また車線からはみ出そうな時は、上述したように警報を鳴らしてくれる機能もあります。そのためより安全に高速道路を走れるのです。
あると便利な装備
| 装備名 | 効果 |
|---|---|
| 標識認識機能 | 道路標識を認識し、運転者に注意を促す |
| 駐車支援システム | 駐車時のハンドル操作をサポート |
| 360度カメラ | 車両周辺の状況を確認しやすくする |
5-2 乗り降りのしやすさ
高齢者になると足腰が悪くなる人が増えます。つまり床が高い車だと乗り降りするのにも一苦労してしまうのです。
重要なポイント
低床フロア 低床フロアというのは、床が低い場所にあるので、乗り降りが非常にしやすいのです。
アシストグリップ ドアの近くに取り付けてある持ち手のことを、アシストグリップといいます。このグリップがあることで、乗り降りする時にコケるリスクを少なくできるでしょう。
パワースライドドア 重いドアの開閉が楽になり、狭いスペースでも乗り降りしやすくなります。
5-3 運転のしやすさ
コンパクトなサイズ感
高齢者向けの車買い替えでおすすめなのは運転しやすい車です。若い時と比べるとどうしても運転の能力も落ちてしまうので、コンパクトなサイズ感の車がおすすめになってきます。
良好な視界
フロントガラスが大きくて、視界が広く取られている車も高齢者におすすめだ。高齢になると、どうしても視力に不安が出てきてしまう。また視認能力も下がることが多く、自分では見えているつもりでも見落としすることがあるだろう。
5-4 高齢者におすすめの車種
軽自動車部門
ホンダ N-BOX ホンダが販している軽自動車のN-BOXは、高齢者におすすめの車の1つだ。軽自動車なので維持費が安く、車両価格も手頃なことから高い人気がある。すべてのグレードでホンダの安全運転支援システムが搭載されている
ダイハツ タント 高齢者の車乗り換えではダイハツのタントもおすすめできる。軽自動車ではあるのだが、車内が広々としていて視界が広いのが特徴だろう。
コンパクトカー部門
トヨタ ヤリスハイブリッド 燃費が良く、安全装備が充実しており、維持費を抑えたい高齢者におすすめです。
日産 ノートe-POWER 電気で走る静かでエコな車として、運転しやすさと環境性能を両立しています。
6. 補助金申請の手順と注意点
6-1 申請の基本的な流れ
1. 対象確認
購入予定の車が補助金の対象車種であるかを確認します。
2. 必要書類の準備
一般的には以下の書類が必要になります。 ・補助金申請書 ・車両購入契約書のコピー ・運転免許証のコピー ・振込先の銀行口座情報
3. 申請の提出
国や自治体の指定する窓口に申請書類を提出します。
4. 審査・補助金の交付
申請が承認されると、補助金が振り込まれます。
6-2 申請時の注意点
予算枠の制限
国の補助金は年度ごとの予算計画に組み込まれ、閣議決定や国会の予算決議を経て実施されます。この流れは、地方自治体の補助金も同様です。そのため、交付条件や補助金額などの制度内容は毎年変わります。
購入前の申請が必要な場合
自治体によっては、車の購入前に申請が必要な場合があります。必ず事前に確認しましょう。
重複申請の禁止
国の補助金と自治体の補助金は併用可能な場合が多いですが、同じ自治体の複数の制度は重複申請できない場合があります。
7. お得に車を買い替える方法
7-1 今の車を高く売る
高齢者の車買い替えで面倒なのが、今の車を売ることだろう。少しでも高く売りたいが、できるだけ手間をかけたくないはずだ。そうした時には車一括査定を使うといいだろう。
車一括査定のメリット
複数の買取店に査定の見積もりを依頼できるため、以下のような効果が期待できます：
- 競合により査定額が自然に上がる
- 手間をかけずに最高額がわかる
- 出張査定で自宅にいながら売却可能
7-2 購入時期の工夫
決算期を狙う
3月・9月の決算期は、ディーラーが売上目標達成のため値引きが期待できます。
モデルチェンジ前
新型車発売前の旧型車は、在庫処分のため価格が下がる傾向があります。
7-3 支払い方法の選択
残価設定ローン
トヨタが行っている残額据え置き払いがあります。車両本体価格の一部を据置額として設定する支払いは購入時の頭金と1年～5年後の2回払いのみという選択肢もあります。
ただし、以下の注意点があります：
- 走行距離に制限がある
- 車の状態により追加費用が発生する可能性
- 事故時の価値下落リスク
8. よくある質問
Q1. 年齢制限はありますか？
A: 現在の補助金制度（CEV補助金など）には年齢制限はありません。過去のサポカー補助金は65歳以上が対象でしたが、現在の制度は年齢に関係なく利用できます。
Q2. 中古車でも補助金は受けられますか？
A: CEV補助金は新車のみが対象です。中古車向けの補助金制度は現在のところありません。
Q3. 軽自動車と普通車で補助金額は違いますか？
A: CEV補助金では、電気自動車の場合、普通車（最大90万円）と小型・軽EV（最大58万円）で上限額が異なります。
Q4. 補助金はいつ振り込まれますか？
A: 申請から補助金交付まで、通常1〜3ヶ月程度かかります。制度や申請時期により異なるため、詳細は各実施機関にお問い合わせください。
Q5. 免許返納を考えているのですが、他に支援制度はありますか？
A: 多くの自治体で免許返納者向けの支援制度があります：
- 電動自転車の補助金（助成金）制度を利用する際に知っておきたいことを解説していきます。
- タクシー券の交付
- 公共交通機関の割引
- シニアカー（電動車いす）の補助
詳しくはお住まいの自治体にお問い合わせください。
まとめ
高齢者の車買い替えにおいて、サポカー補助金は終了しましたが、現在でも利用可能な補助金制度は複数存在します。
重要なポイント：
- CEV補助金は現在も利用可能 – 電気自動車やプラグインハイブリッド車なら最大90万円の補助
- 自治体独自の制度も活用 – 居住地域の制度を必ず確認
- 安全装備を重視した車選び – 衝突被害軽減ブレーキやペダル踏み間違い防止装置は必須
- 今の車を高く売る – 一括査定を活用して買い替え費用を確保
- 申請は計画的に – 予算枠や期限に注意して早めの手続きを
高齢者の車買い替えは、安全性や経済性の観点から重要な決断となります。国や自治体が提供する補助金を活用することで、より安全で快適な車に買い替えることができます。ぜひ最新の補助金制度をチェックし、お得に新しいカーライフを始めましょう！
車の買い替えでお困りの際は、お住まいの自治体窓口や車販売店にご相談ください。安全で快適なカーライフを送れるよう、適切な支援制度を活用していきましょう。
本記事の情報は2025年6月時点のものです。補助金制度は変更される場合がありますので、申請前に必ず最新情報をご確認ください。
