はじめに:新型ステップワゴンの現状
2022年5月に発売された新型ステップワゴン(6代目)について「失敗作」という声が聞かれることがあります。新型ステップワゴンはデザインに対し「ダサくなった」という声があることから「失敗」と捉えられることがあるようです。
しかし、車の売却や査定を検討している方にとって重要なのは、これらの評判が実際の査定価格にどう影響するのかという点です。この記事では、新型ステップワゴンが「失敗」と言われる理由を詳しく分析し、売却査定への影響について専門的な視点から解説します。
【要点まとめ】
- 新型ステップワゴンの「失敗」と言われる具体的な理由
- リセールバリューと査定価格への実際の影響
- 売却を検討する際のポイントと最適なタイミング
新型ステップワゴンが「失敗」と言われる5つの理由
1. デザインの賛否両論
エクステリアデザインの変化
新型ステップワゴンの外観は、「エアー」ではシンプルなデザインに細いメッキモールを配したもので、「ステップワゴン スパーダ」ではフロントグリルがワイドで重厚さを感じるものとなっています。
デザインの問題点:
- 従来の丸みを帯びたデザインから箱型への回帰で好みが分かれる
- ノア / ヴォクシーやセレナなどと比べ大人しいイメージにまとめられています
- 迫力不足との指摘
査定への影響
デザインの好みは個人差があるものの、査定価格への直接的な影響は限定的です。むしろ、シンプルなデザインは幅広い層に受け入れられやすく、中古車市場では安定した需要が期待できます。
2. 人気機能「わくわくゲート」の廃止
わくわくゲートとは
5代目のステップワゴンでは、わくわくゲートとよばれる横方向に開閉可能な荷室ドアが採用されていました。テールゲートが横開きできることで天井部分にあたってしまい、本来なら畳まなければ積み降ろしできないベビーカーも、畳まずにそのまま積載ができたり、後部席ドアを開けなくても3列目シートに後方から直接乗り込むことができるなど、車の用途を確実に広げることができるオプションとなっていました。
廃止による影響
- ユーザビリティの低下
- 独自性の喪失
- 既存ユーザーからの不満
査定への影響: わくわくゲート搭載の5代目モデルは、この機能を評価するユーザーから高い査定を受ける可能性があります。
3. 燃費性能への不満
実燃費の問題
新型ステップワゴンe:HEV新車から1500キロ走って燃費リッター10.9キロ。正直もっと行くと思ってた、リッター15キロくらい走って欲しいというユーザーの声があります。
燃費データ:
- e:HEVエアー:20.0km/L(カタログ値)
- e:HEVスパーダ:19.6km/L(カタログ値)
- ガソリン車エアー:13.9km/L(カタログ値)
- ガソリン車スパーダ:13.7km/L(カタログ値)
4. 納期の長期化問題
新型ステップワゴンは納期が長くなっていて、それも大きな不評を買っているポイントです。納期問題は新車購入を検討している方には重要な要素ですが、中古車購入や売却を検討している方には追い風となる可能性があります。
5. 価格設定の高さ
ステップワゴンの最廉価グレード、エアーは2WDモデルならギリギリ300万円を切る価格に設定されています。しかしライバルに目を向ければ、ノアやセレナは260万円代のグレードがあり、比較するとステップワゴンは30万円ほど高額です。
販売実績と市場評価の実態
販売台数の推移
実際の販売データを見ると、新型ステップワゴンの状況は複雑です。
2024年の状況: 発売されたのは2022年5月なのに、2024年に入って登録台数を急増させた。2024年1月の登録台数は前年の1.7倍、2月は2倍、3月は2.8倍、4月も2.1倍だ。
一般社団法人「日本自動車販売協会連合会」の発表によると、ステップワゴンは2024年5月だけで4845台売れており、乗用車の販売台数では11位にランクインしています。
納期遅延からの回復
ステップワゴンの場合、納期遅延の影響は前述のように2023年8月頃まで続き、9月に入って解消されると登録台数を増やし始めた。
ステップワゴンの買取・査定相場分析
現行モデル(6代目)の査定相場
2022年式の査定状況: 1年落ちの2023年式かつ走行距離が短く、状態がよいものは200万円以上での買取も期待できるでしょう。
ステップワゴン スパーダの2022年モデルのグレードは「e:HEV (7人乗り)」や「ベースグレード (7人乗り)」で比較的高く査定され、「e:HEV (7人乗り)」で270〜400万円、「ベースグレード (7人乗り)」で220〜369万円の価格で見積もりされる傾向があります。
年式別査定相場の目安
年式 | 走行距離 | 査定相場 |
---|---|---|
2023年式 | 1万km以下 | 200-300万円 |
2022年式 | 2万km以下 | 180-280万円 |
2021年式(5代目) | 3万km以下 | 100-180万円 |
2018年式(5代目) | 5万km以下 | 80-150万円 |
2015年式(5代目) | 8万km以下 | 50-100万円 |
人気グレードと査定への影響
スパーダの優位性
ステップワゴンでは圧倒的にスポーティなスパーダが人気で、標準モデルはコンディションが良くても、査定が下がる傾向があります。
競争著しいミニバン市場でも特に人気の高いミドルサイズトールミニバンジャンルの中人気車種を誇るステップワゴン スパーダは中古車市場でも人気が高く、高い買取価格が期待できます。
ハイブリッド車の需要
ガソリンエンジンとハイブリッドが設定されている場合、ガソリン車が人気というケースもありますが、ステップワゴンは違います。ステップワゴンは圧倒的にハイブリッド車が人気となっています。
売却タイミングの最適化
有利な売却タイミング
1. 新車納期遅延を活用
新車の納期が長い現状では、程度の良い中古車需要が高まっています。納期考えると、中古車の方が安心なんだよなぁという声もあり、売却には有利な環境です。
2. モデルチェンジ前の駆け込み需要
将来的なマイナーチェンジ前は、現行モデルを求める駆け込み需要が期待できます。
3. 年式による価値下落を考慮
一般的に購入から時間が経つほど、車の買取価格は下がります。また、モデルチェンジが行われる前後も買取価格が下がりやすいタイミングです。
査定額を最大化する方法
1. 複数業者での査定比較
ステップワゴンを売却する際は、複数の業者に査定してもらい、買取価格を比較しましょう。同じ車であっても買取業者によって提示される価格が異なることはよくあることです。
2. 人気カラーの優位性
ボディカラーは、ステップワゴン スパーダの専用色となるプレミアムスパークルブラック・パール(ブラック系)や全グレード共通色のプラチナホワイト・パール(ホワイト系)といった定番の色が人気となっています。
3. 装備・オプションの確認
- Honda SENSINGの有無
- わくわくゲート(5代目のみ)
- 純正ナビゲーション
- エアロパーツ
競合車種との比較分析
ライバル車との査定相場比較
主要競合車種:
- トヨタ ノア/ヴォクシー
- 日産 セレナ
ステップワゴンの中古車相場は、同じMクラスミニバンのヴォクシーと大きく変わりません。ミニバンはファミリーを中心に人気が高く、中古車相場も下がりにくいのが特徴です。
しかし、当時の新車時価格から考えると、ステップワゴンの方がヴォクシーよりわずかに割安な傾向があります。
ステップワゴンの競争優位性
1. 安全装備の充実
2018年式のステップワゴンとヴォクシー/ノアを比べると、ステップワゴンは1グレードを除いて全車で歩行者検知式の自動ブレーキやサイド/カーテンエアバッグ、車線維持機能などを搭載しています。一方ヴォクシー/ノアでは、これらの多くの機能が未搭載またはオプションです。
2. 独自の利便性
ステップワゴンのもう一つの特徴が、3列目シートの床下収納です。ライバルが跳ね上げ式を採用する中、ステップワゴンのみ床下収納が可能で、大きな荷物も余裕を持って積むことができます。
失敗論に対する反証
実際のユーザー評価
実際に所有しているユーザーからは高い評価も聞かれます。新型ヴォクシーと新型セレナには既に乗ったことがある状態で新型ステップワゴンに初めて試乗したとき、「あっこれだ」という感覚がありました。静かな車内と明らかに少ない揺れ、しっとりとした乗り味、3列目の座り心地と見晴らし。
長期的な評価の変化
もともとステップワゴンはミニバンの主力車種で、現行型の外観は少し地味だが、実用性や快適性は高い。最近の登録台数が、本来あるべき販売実績だろう。
売却を検討する際の注意点
1. 査定前の準備
必要書類の確認
- 自動車検査証
- 自賠責保険証明書
- 自動車納税証明書
- リサイクル券
- 印鑑登録証明書(普通車の場合)
車両状態の確認
簡単なものなら、自分で補修できる場合もあります。ちょっとしたひと手間が、意外な査定アップに繋がることも少なくありません。
2. 最適な売却先の選択
買取専門店
- 高額査定の可能性
- 迅速な手続き
- 競合による価格向上
ディーラー下取り
- 手続きの簡便性
- 新車購入との組み合わせ
- 査定額は低めの傾向
一括査定サービス
車買取一括査定では、一度に複数の買取事業者へ見積もりを依頼し、最短3時間後に各社の査定額をまとめて確認することができます。
リセールバリューの将来予測
短期的な見通し(1-2年)
新車納期の長期化が続く限り、中古車需要は堅調に推移すると予想されます。特に程度の良いハイブリッド車やスパーダは、安定した査定価格が期待できるでしょう。
中長期的な見通し(3-5年)
ステップワゴンは少人数から大人数までの移動に適した優れもので、ファミリー層から人気のある車です。ステップワゴンは、同じホンダの車の中でも上位に位置するほどリセールバリューの高さです。
ファミリー向けミニバンとしての基本的な需要は継続すると考えられ、適切なメンテナンスを行った車両は一定の価値を保つと予想されます。
よくある質問(FAQ)
Q1. 新型ステップワゴンの査定で重視されるポイントは?
A1: 以下の要素が重要です:
- グレード(スパーダ、e:HEV が有利)
- 走行距離
- 年式
- 車体色(ホワイト、ブラック系が人気)
- 装備・オプション内容
- 車両の状態
Q2. わくわくゲート非搭載は査定に影響しますか?
A2: 新型(6代目)ではわくわくゲートが標準で非搭載のため、査定への直接的な影響はありません。むしろ、5代目でわくわくゲート搭載車は付加価値として評価される可能性があります。
Q3. 「失敗作」という評判は査定額に影響しますか?
A3: 一部で「失敗」という声があるものの、実際の販売台数は回復傾向にあり、査定市場への大きな影響は見られません。実用性や安全性の高さから、適正な評価を受けています。
Q4. 売却の最適なタイミングはいつですか?
A4: 以下のタイミングが推奨されます:
- 走行距離が10万km未満
- マイナーチェンジ前
- 年式が新しいうち
- 新車納期が長い現在の市況
まとめ:「失敗」論を超えた合理的な判断を
新型ステップワゴンに対する「失敗」という評価は、主にデザインの好みや期待値との乖離に基づくものであり、車としての基本性能や実用性には大きな問題はありません。
売却・査定を検討する際のポイント:
- 冷静な市場分析:感情的な評価ではなく、実際の査定相場を基に判断する
- タイミングの最適化:新車納期遅延などの市況を活用する
- 複数査定の実施:業者間の競争を促進し、適正価格を把握する
- 車両状態の最適化:査定前の準備で価値を最大化する
27年という長い期間、フルモデルチェンジを行いながら高い人気を保ち続けているステップワゴンは、中古車市場でも一定以上の人気があるためリセールバリューも高い車となっています。
新型ステップワゴンの「失敗」論に惑わされることなく、実際のデータと市場動向を基に合理的な売却判断を行うことが重要です。適切なタイミングと方法で売却すれば、満足のいく査定結果を得ることができるでしょう。
参考情報:
- 本記事の情報は2025年6月時点のものです
- 査定価格は車両の状態、走行距離、地域などにより変動します
- 売却前には必ず複数業者での査定を推奨します