車を売却する際、査定額を大きく左右する要素の一つが「走行距離」です。「愛車の走行距離が気になって売却を迷っている」「どのタイミングで売れば最も高く売れるのか分からない」という方も多いのではないでしょうか。
この記事では、車査定における走行距離の重要性から実際の査定額への影響、そして高価買取を実現するためのコツまで、徹底的に解説します。あなたの愛車を最も有利な条件で売却するための知識を身につけましょう。
車査定における走行距離の基本知識
走行距離が査定に与える影響の仕組み
車の査定において、走行距離は車の状態を判断する最も重要な指標の一つです。走行距離を見ることで車の寿命が分かるため、査定員は走行距離を重要視しています。
走行距離が査定額に影響する理由は以下の通りです：
部品の劣化度合いの判断 走行距離が長い車は、その分だけボディや部品の劣化が進んでいると見なされるため、査定額に大きく影響します。エンジンやトランスミッション、ブレーキ関連部品などの消耗が進んでいると判断されるからです。
将来の故障リスクの評価 走行距離が長ければパーツの劣化や故障リスクが上がるため、査定金額が下がってしまいます。買取業者は再販時のリスクを考慮して査定額を決定するためです。
中古車市場での需要予測 走行距離は中古車購入者が最も重視する項目の一つです。走行距離の長い車は敬遠される傾向があるため、買取業者もその点を査定額に反映させます。
オドメーターとトリップメーターの違い
査定で確認される走行距離は、車にはオドメーターとトリップメーターというものがついていて、オドメーターでは完成時から現在に至るまでの走行距離を知ることができます。
| メーター種類 | 機能 | 査定での使用 |
|---|---|---|
| オドメーター | 車の総走行距離を表示 | 査定の基準として使用 |
| トリップメーター | リセット可能な区間距離計 | 査定では参考程度 |
走行距離別の査定基準と相場
日本自動車査定協会（JAAI）の基準
車の査定基準は、その多くはJAAI（一般財団法人日本自動車査定協会）が定めたものがベースとなっています。
標準走行距離の基準 一般的に、適切な走行距離の範囲は普通車で1年あたり1万km、軽自動車で8000kmと言われています。この基準を大きく上回ると査定額の減額要因となります。
走行距離別の査定評価
以下の表は、一般的な査定における走行距離の評価基準です：
| 走行距離 | 分類 | 査定評価 | 市場価値 |
|---|---|---|---|
| 3万km未満 | 低走行車 | プラス評価 | 非常に高い |
| 3万〜5万km | 標準的 | 標準評価 | 高い |
| 5万〜8万km | やや多い | 軽微な減額 | 中程度 |
| 8万〜10万km | 多走行車 | 減額対象 | やや低い |
| 10万km以上 | 過走行車 | 大幅減額 | 低い |
年式と走行距離のバランスが重要
車を査定する際には、1年あたりの平均走行距離で判断されます。一般的に普通車では1年1万kmと考えられています。
適正な年式と走行距離の関係
| 年式（経過年数） | 適正走行距離の目安 | 判定 |
|---|---|---|
| 3年落ち | 3万km前後 | 標準的 |
| 5年落ち | 5万km前後 | 標準的 |
| 7年落ち | 7万km前後 | 標準的 |
| 10年落ち | 10万km前後 | 標準的 |
年式が新しいのに平均走行距離を大きく逸脱している場合は、通常の走行距離の車と比較して買い取り額が落ちます。
査定額が下がる走行距離の目安
5万キロ：最初の大きな節目
車の走行距離が5万キロメートルを超える車は多走行車に分類されます。5万キロメートルを走った車は多く走っていると認識されるため、ここを超えることで下取り価格が新車価格の半分ほどになります。
5万キロ超過による影響
- 中古車市場での人気が低下
- 査定額が大幅に下がる
- 部品交換の必要性が高まる
10万キロ：車の寿命説の影響
10万キロメートルを超える走行距離の車は過走行車に分類されます。昔は10年、または10万キロメートルが車の寿命だとされていたことから、過走行車は下取りに出せないと判断される方もいるかもしれません。
10万キロ超過時の現実
- 査定額は新車価格の10〜30%程度
- 多くの部品が耐用年数を迎える
- 海外輸出ルートでの販売が主体
走行距離が10万キロを超えたタイミングは、車を手放すか維持し続けるかを考えさせる大きなターニングポイントです。
走行距離が短すぎる車の注意点
低走行車のデメリット
意外に思われるかもしれませんが、走行距離が極端に短い車にもリスクがあります。
あまり走らせないでいると、経年劣化により部品のゴムが切れてしまったり、金属部にさびが発生したりしてしまいます。バッテリー上がりによって動かなくなってしまうこともあります。
過少走行車の問題点
- エンジンオイルの劣化
- ゴム部品の硬化・亀裂
- バッテリーの劣化
- 燃料系統のトラブル
車査定で走行距離が短い場合にはプラス査定を望めるとはいえ、低年式低走行車のデメリットはマイナス査定の要因になります。
実際の買取相場データで見る走行距離の影響
人気車種での走行距離別相場比較
以下は、トヨタ・プリウス（2015年式）の走行距離別買取相場例です：
| 走行距離 | 買取相場（概算） | 新車価格比 |
|---|---|---|
| 3万km | 150万円 | 約60% |
| 5万km | 130万円 | 約52% |
| 7万km | 110万円 | 約44% |
| 10万km | 80万円 | 約32% |
| 12万km | 50万円 | 約20% |
*上記は一例であり、実際の査定額は車両状態や市場動向により変動します。
編集部の体験談：走行距離による査定額の実際
Aさんの事例（トヨタ・ヴェルファイア 2018年式）
- 走行距離：4万8千km
- 査定結果：280万円（新車価格の約70%）
- コメント：「5万キロ手前で売却できたのが良かった。査定士の方からも『このタイミングでの売却は賢い判断』と言われました。」
Bさんの事例（ホンダ・フィット 2016年式）
- 走行距離：12万km
- 査定結果：45万円（新車価格の約25%）
- コメント：「10万キロを超えていたので期待していませんでしたが、メンテナンス記録をしっかり残していたおかげで、思ったより高く売れました。」
高価買取を実現するための売却タイミング
最適な売却タイミングの見極め
5万キロ到達前がベストタイミング 高価買取でお得に買い替えをしたいなら、5万キロ未満で売却できるよう早めの準備を心がけることが大切です。
タイミング別のメリット・デメリット
| 売却タイミング | メリット | デメリット |
|---|---|---|
| 3年落ち3万km | 最高の査定額が期待できる | 乗用期間が短い |
| 5年落ち5万km | 高額査定とコスパのバランス良 | 一般的な売却時期 |
| 7年落ち7万km | まだ十分な査定額が見込める | 競合車両が多い |
| 10年落ち10万km | 長期間利用できた | 査定額は大幅に下がる |
車検のタイミングとの関係
車検と走行距離の関係も売却タイミングの重要な要素です。
初回車検前（3年目）での売却
- 最も高い査定額が期待できる
- 修理費用がほとんどかからない
- 保証期間内での売却
2回目車検前（5年目）での売却
- まだ高い査定額が期待できる
- バランスの取れた売却タイミング
- 多くの人が選ぶ売却時期
走行距離以外で査定額に影響する要素
年式の重要性
車の年式もポイントなります。年式というのは、車が製造された後に初めて登録された年の事を意味します。
年式は毎年1月1日に更新されるため、同じ使用期間でも登録月により年式が変わる点に注意が必要です。
車両状態による加減点
プラス査定要因
- 定期的なメンテナンス履歴
- 純正部品の保持
- 内外装の良好な状態
- 事故歴なし
マイナス査定要因
- 修復歴の存在
- 内外装の損傷
- メンテナンス不良
- 改造部品の装着
人気車種・グレードの影響
車の査定において、走行距離と同様に大事なのが中古車市場で人気のある車種かどうかという点です。
人気が高い車種の特徴
- SUV・ミニバンなどの実用性の高い車種
- ハイブリッド車などの環境対応車
- コンパクトカーなどの燃費の良い車種
- 限定モデルや特別仕様車
10万キロ超えの車でも高く売るコツ
海外需要を活用した売却戦略
日本車は、海外でも人気が高いです。「日本車は精密で壊れにくい」「物を大切にする」というイメージを持たれているため、10万キロ以上走行した車でも、海外では高い需要があります。
海外輸出ルートを持つ業者の特徴
- 過走行車でも積極的に買取
- 輸出に適した車種に強い
- 国内相場より高い査定額を提示
メンテナンス履歴の重要性
走行距離10万キロを超えた車の場合、耐用年数を迎える部品が出てきます。タイミングベルト・ブレーキホース・ショックアブソーバ・スパークプラグ・ウォーターポンプ・ブレーキ周辺のシール部品・サーモスタット・オイルポンプ、これら8種の部品は多くのメーカーで交換が推奨されている部品です。
高価買取のためのメンテナンス記録
- 定期点検記録簿の保持
- 部品交換履歴の整理
- 修理見積書・領収書の保管
- ディーラーでの整備記録
適切な買取業者の選択
過走行車に強い買取業者の見つけ方
- 複数の業者で相見積もりを取る
- 海外輸出ルートを持つ業者を選ぶ
- 専門車種に特化した業者を検討
- 廃車買取業者も候補に含める
一括査定サービスの活用方法
複数業者での比較の重要性
一括査定サイトでは、一度に複数の業者へ査定を依頼できるため、複数の業者のなかから一番高い査定額を提示した業者を選ぶことができます。
一括査定のメリット
- 手間をかけずに複数業者の査定額を比較
- 業者間の競争により査定額アップが期待
- 自分の車の相場感を把握できる
- 交渉時の材料として活用可能
査定前の準備ポイント
必要書類の準備
- 車検証
- 自賠責保険証明書
- 自動車税納税証明書
- 印鑑登録証明書
- 実印
車両の準備
- 内外装の清掃
- 消臭対策
- 必要書類の整理
- 純正部品の準備
編集部おすすめの売却戦略
走行距離別最適戦略
3万km未満の場合
- ディーラー下取りと買取専門店を比較
- 新車購入と合わせた下取りメリットを活用
- 高額査定が期待できるため複数業者で競合
5万km前後の場合
- 一括査定サービスを積極活用
- 車検タイミングと合わせた売却を検討
- メンテナンス履歴をアピールポイントに
10万km超えの場合
- 海外輸出業者を含めた幅広い査定
- 廃車買取業者も選択肢に含める
- 部品価値や鉄資源価値での査定も検討
査定額アップのための具体的行動
内外装のコンディション向上
- 丁寧な洗車・ワックスがけ
- 室内の徹底清掃・消臭
- 小傷の目立たない補修
- タイヤ・ホイールの清掃
書類・記録の整理
- メンテナンス記録の整理
- 修理履歴の明確化
- 純正部品・取扱説明書の準備
- 車両の魅力的なポイントの整理
走行距離と車の寿命について
現代の車の実際の寿命
以前は「10年・10万キロ」が一般的な車の寿命といわれていました。しかし、近年は塗装技術やエンジン性能、その他の細かな部品など、技術の向上により車の耐久年数が延び、そうとはいえない時代となっています。
現代車の寿命目安
- 年数：13〜15年
- 走行距離：15〜20万km
- 適切なメンテナンス実施が条件
平均車齢の推移データ
平成31年3月末の乗用車3944万5,680台(軽自動車を除く)の平均車齢は8.65年で、前年に比べ0.05年延び、27年連続して高齢化するとともに25年連続で過去最高齢となった。
このデータからも、車の長期使用化が進んでいることが分かります。
よくある質問と回答
Q1：走行距離の改ざんを見抜く方法はありますか？
A1：以下の点をチェックすることで、ある程度判断できます：
- ペダルやシート、ハンドルの摩耗具合
- エンジンルームの汚れ具合
- タイヤの摩耗状態
- メンテナンス記録との整合性
Q2：走行距離が多くても価値が下がりにくい車種はありますか？
A2：以下のような車種は比較的価値が保たれやすいです：
- 商用車（ハイエースなど）
- 高級車（レクサス、ベンツなど）
- 希少車・限定車
- 海外で人気の高い車種（ランドクルーザーなど）
Q3：メーター交換歴がある場合の査定への影響は？
A3：メーター交換は査定に大きく影響します：
- 交換理由の明確化が必要
- 交換前後の走行距離記録が重要
- 正当な理由であれば大幅減額は避けられる
- 記録が不明確な場合は大幅減額の可能性
政府統計データから見る走行距離の実態
国土交通省統計による年間走行距離
自家用車を所有し、月に1回以上車を運転する18歳～59歳の男女1,000名（全回答者）に、年間走行距離を聞いたところ、「3,000km超5,000km以下」（31.2%）や「5,000km超7,000km以下」（21.8%）との回答が多くなり、年間走行距離の平均は6,186kmでした。
この統計から、実際の年間走行距離は査定基準の1万kmより少ないことが分かります。
自動車検査登録情報協会のデータ
自動車検査登録情報協会の調査では、令和3年における普通乗用車3,918万1,501台の車齢を調べた結果、平均車齢が8.84年ということが分かりました。
これらの公的データを参考にすることで、より正確な売却判断ができるでしょう。
まとめ：最適な売却戦略の構築
車査定における走行距離の影響は非常に大きく、売却タイミングの判断において最重要要素の一つです。以下のポイントを押さえて、あなたの愛車を最も有利な条件で売却しましょう。
高価買取を実現するための重要ポイント
- 5万km到達前の売却が最も有利：走行距離5万kmは査定額の大きな分岐点
- 年式とのバランスを重視：1年1万kmの基準から大きく逸脱しないことが重要
- メンテナンス履歴の整備：特に10万km超えの場合は記録が査定額を左右
- 複数業者での比較検討：一括査定サービスを活用し最高額を目指す
- 車両コンディションの向上：清掃・整備により査定額アップを図る
走行距離別おすすめアクション
- 3万km未満：新車ディーラーとの下取り競合も検討
- 5万km前後：一括査定で複数業者を比較
- 10万km超え：海外輸出業者や廃車買取も選択肢に
車の売却は人生で何度も経験することではありません。この記事で得た知識を活用して、後悔のない売却を実現してください。適切なタイミングでの売却決断が、次の愛車購入資金を大きく左右することを忘れずに、計画的な車の乗り換えを心がけましょう。
この記事の情報は2025年6月時点のものです。実際の査定額は車両状態や市場動向により変動するため、正確な査定額は専門業者にご相談ください。
