外車(輸入車)を売却する際、税金の還付について気になる方は多いのではないでしょうか。「外車は税金が高い」というイメージがありますが、実は売却時には国産車と同じように税金の還付を受けることができます。
本記事では、外車売却時の税金還付について、実際の還付金額の計算方法から手続きの流れまで、編集部の経験を交えながら詳しく解説していきます。
1. 外車売却時に還付される税金の種類
外車を売却する際に関係する税金は、大きく分けて「還付される可能性がある税金」と「支払う可能性がある税金」の2種類があります。
還付される可能性がある税金
税金の種類 | 還付の条件 | 還付方法 |
---|---|---|
自動車税 | 年度途中での売却(普通車のみ) | 買取価格に上乗せ |
自動車重量税 | 廃車(永久抹消登録)時のみ | 国からの還付 |
自賠責保険料 | 廃車(抹消登録)時のみ | 保険会社からの返戻 |
支払う可能性がある税金
- 所得税:売却益が出た場合(レジャー用・事業用車両)
- 消費税:個人事業主・法人が事業用車両を売却した場合
- 自動車税:4月1日時点で所有している場合
編集部が実際に外車買取業者に取材したところ、多くのディーラーや買取店では自動車税を還付しています。ただし、これは法的な義務ではないため、売却前に必ず確認することが重要です。
2. 自動車税の還付について詳しく解説
自動車税還付の仕組み
自動車税は、4月1日時点での自動車の使用者が1年分を前払いでまとめて支払うことになっています。売却後の分まで先に支払うことになる場合が多いため、売却した月(正確には名義変更が完了した月)の翌月分以降の金額が返ってくる仕組みになっています。
還付金額の計算方法
自動車税の還付金額は以下の計算式で算出できます:
還付金額 = 年税額 ÷ 12ヶ月 × 名義変更翌月から3月までの月数
(100円未満は切り捨て)
外車の排気量別自動車税額(2019年10月以降新車登録)
排気量 | 年税額 |
---|---|
1,000cc以下 | 25,000円 |
1,000cc超〜1,500cc以下 | 30,500円 |
1,500cc超〜2,000cc以下 | 36,000円 |
2,000cc超〜2,500cc以下 | 43,500円 |
2,500cc超〜3,000cc以下 | 50,000円 |
3,000cc超〜3,500cc以下 | 57,000円 |
3,500cc超〜4,000cc以下 | 65,500円 |
4,000cc超〜4,500cc以下 | 75,500円 |
4,500cc超〜6,000cc以下 | 87,000円 |
6,000cc超 | 110,000円 |
実際の還付金額計算例
例えば、排気量2.0LのBMW 3シリーズ(年税額36,000円)を7月に売却した場合:
36,000円 ÷ 12ヶ月 × 8ヶ月(8月〜3月)= 24,000円
編集部メンバーが実際にメルセデス・ベンツCクラスを売却した際、8月売却で約2万円の自動車税相当額が買取価格に上乗せされていました。
重要な注意点
軽自動車には還付制度が用意されていません。そのため、軽自動車規格の外車(例:スマート フォーツーなど)を売却する場合は、自動車税の還付はありません。
3. 自動車重量税・自賠責保険料の還付
自動車重量税の還付
還付申請は、使用済自動車の最終所有者が、リサイクルのためにディーラーなどの引取業者へ当該使用済自動車を引き渡し、その後、引取業者から使用済自動車が解体された旨の連絡を受けた後に行います。
重要:自動車重量税の還付は「廃車(永久抹消登録)」の場合のみです。単なる売却では還付されません。
自賠責保険料の還付
自賠責保険料も同様に、廃車時のみ還付対象となります。ただし、多くの買取業者は以下のように対応しています:
- 車検残存期間を考慮した査定
- 自賠責保険の残存期間分を買取価格に反映
- リサイクル料金の返金
編集部の調査では、外車専門買取店の多くが、これらの残存価値を適切に査定に反映させていることがわかりました。
4. 外車特有の注意点と誤解
よくある誤解:外車の税金は高い?
実は国産車と外車とでは、支払う税金の額に変わりはありません。日本では車の製造国によっての課税額の増減はまったくないため、同じ排気量・重量であれば税金は同額です。
外車特有の注意点
- 維持費の違い
- 外車は税金以外の修理・整備費用やガソリン代などが国産車よりも割高になる場合が多く、結果的に車の維持費は外車のほうが国産車よりも10~30%ほど高くなる
- 買取価格の傾向
- 外車は中古車市場での需要が限定的
- 専門知識を持つ買取店を選ぶことが重要
- 売却先の選び方
- 外車専門買取店の方が適正な査定を期待できる
- 一般の買取店では評価が低くなりがち
5. 還付金を最大化する売却タイミング
ベストな売却時期
月 | メリット | デメリット |
---|---|---|
2〜3月 | 自動車税の納税前に売却可能 | 年度末で手続きが混雑 |
4〜5月 | – | 自動車税を一旦納付する必要あり |
6〜11月 | 還付金額が多い | – |
12〜1月 | – | 還付金額が少ない |
編集部からのアドバイス
実際に複数の外車オーナーに聞き取りを行ったところ、最も多かったのは「2月中の売却」でした。理由は以下の通りです:
- 自動車税の納付を避けられる
- 買取相場が比較的安定している
- 新年度前で買い替え需要が高い
車検のタイミングも考慮
車検満了の1〜2ヶ月前の売却がおすすめです。理由:
- 車検費用(10〜20万円)を節約できる
- 自動車重量税の前払いを避けられる
- 車検切れによる査定額低下を防げる
6. 税金還付の手続き方法
売却時の自動車税還付手続き
- 買取店での売却の場合
- 特別な手続きは不要
- 買取価格に自動的に上乗せされる
- 必ず「自動車税相当額」の内訳を確認
- 個人売買の場合
- 売買契約書に自動車税の負担について明記
- 月割り計算で購入者が負担するのが一般的
- トラブル防止のため書面で合意
廃車時の還付手続き(参考)
還付申請書を運輸支局等へ提出し、使用済自動車の最終所有者の住所を所轄する税務署から還付金が支払われるまでには、おおむね2か月半程度かかります。
必要書類チェックリスト
売却時に準備すべき書類:
- [ ] 車検証
- [ ] 自動車税納税証明書
- [ ] 自賠責保険証明書
- [ ] リサイクル券
- [ ] 印鑑証明書(普通車の場合)
- [ ] 実印(普通車の場合)
7. 所得税がかかるケースと確定申告
所得税が発生する条件
国税庁によると、売却した車が通勤や通学、買い物などの日常生活に欠かせない用途で使用されていた場合、非課税の対象になるとされています。
しかし、以下の場合は課税対象となる可能性があります:
- レジャー専用車
- キャンピングカー
- スポーツカー(週末のみ使用)
- セカンドカー(趣味用)
- 事業用車両
- 営業車
- 社用車(通勤用除く)
高級外車の売却益に注意
フェラーリなど高級外車の売却益をめぐり、約20の法人と個人が所得隠しや申告漏れを指摘されていたという事例もあります。
譲渡所得の計算方法
譲渡所得 = 売却価格 - (取得費 + 売却費用) - 特別控除50万円
所有期間による違い:
- 5年以内:上記の金額がそのまま課税対象
- 5年超:上記の金額の1/2が課税対象
実例:高級外車の売却
例)3年前に800万円で購入したポルシェ911を1,000万円で売却した場合:
譲渡所得 = 1,000万円 - 800万円 - 50万円 = 150万円
この場合、150万円が譲渡所得として課税対象となり、確定申告が必要です。
8. よくある質問(Q&A)
Q1. 外車の自動車税は国産車より高いのですか?
A. いいえ、国産車と外車とでは、支払う税金の額に変わりはありません。同じ排気量であれば税額は同じです。
Q2. 3月末に売却しましたが、4月に自動車税の納付書が届きました。支払う必要はありますか?
A. 名義変更のタイミングによります。4月1日時点で名義変更が完了していない場合は、一旦納付する必要があります。ただし、買取店が対応してくれることが多いので、まずは売却先に連絡しましょう。
Q3. 軽自動車規格の外車(スマートなど)も自動車税の還付はありますか?
A. 残念ながら、軽自動車には還付制度が用意されていないため、還付はありません。
Q4. 外車専門店と一般買取店、どちらで売却すべきですか?
A. 編集部の経験では、外車専門店の方が以下の点で有利です:
- 適正な査定額
- 税金還付の説明が丁寧
- 手続きがスムーズ
Q5. クレジットカードで自動車税を支払った場合、何か注意点はありますか?
A. クレジットカードやコード決済で自動車税を支払った場合、窓口払いのように自動車納税証明書を受け取れません。名義変更に時間がかかる場合があります。
Q6. 個人売買で外車を売る場合の税金はどうなりますか?
A. 以下の点に注意が必要です:
- 自動車税:月割りで購入者負担が一般的
- 自動車重量税・自賠責保険:売却側負担が一般的
- 必ず書面で取り決めを行う
9. まとめ:外車売却で損をしないために
押さえておくべきポイント
- 税金の還付は国産車と同じ
- 外車だからといって特別な税金はない
- 自動車税の還付方法も同じ
- 売却タイミングが重要
- 2〜3月の売却がベスト
- 車検前の売却で費用節約
- 買取店選びが査定額を左右
- 外車専門店の利用を推奨
- 必ず複数社で査定を取る
- 還付金の確認は必須
- 自動車税相当額の明細確認
- リサイクル料金の返金確認
編集部からの最終アドバイス
私たちが取材した外車オーナーの多くが口を揃えて言うのは、「事前の情報収集が大切」ということです。特に高級外車の場合、売却益に対する税金の問題もあるため、必要に応じて税理士などの専門家に相談することをおすすめします。
外車の売却は、適切な知識と準備があれば、国産車と同様にスムーズに行うことができます。本記事で紹介した情報を参考に、納得のいく売却を実現してください。
最後に、外車の売却を検討されている方は、まず愛車の現在の価値を把握することから始めましょう。複数の買取店で査定を受け、税金の還付についても必ず確認することで、最適な売却を実現できるはずです。
本記事は2025年7月時点の情報に基づいています。税制改正等により内容が変更される可能性がありますので、最新の情報は国税庁や各都道府県税事務所でご確認ください。