「車検が切れてしまった車は売れないのでは?」「査定額が大幅に下がってしまうのでは?」
このような不安を抱えている方も多いのではないでしょうか。長期間放置していた車の車検が切れてしまい、処分に困っている方もいらっしゃることでしょう。
でも、ご安心ください。車検切れの車でも問題なく買取は可能です。しかも、適切な方法を選べば、思っている以上の価格で売却できる可能性があります。
この記事では、車検切れの車を高く売るための具体的な方法から、注意すべきポイント、必要書類まで、編集部の実体験を交えながら詳しく解説していきます。
1. 車検切れの車でも買取可能!その理由とは
なぜ車検切れでも価値があるのか
多くの方が誤解されていますが、車検切れの車でも問題なく買い取ってもらえます。その理由は主に以下の3つです。
1. 買取業者にとって車検の有無は重要ではない
買取業者側からすると車検の有無はほとんど関係ないのが実情です。なぜなら:
- 業者オークションでの転売:買い取った車の多くは業者間オークションで転売されます
- 海外輸出:日本の車検制度は海外では関係ありません
- 自社工場での車検取得:大手買取業者は自社工場で安く車検を通せます
2. 車の本質的な価値は変わらない
査定士が見ているのは、修復歴や外装、内装といった車自体の価値に関わる部分です。車検の有無で車の品質が変わるわけではありません。
3. 中古車として再販する際の柔軟性
買取業者は車検を通すタイミングを自由に選べるため、在庫管理の観点からもメリットがあります。
編集部の体験談:実際に車検切れの車を売却してみた
編集部スタッフのAさんは、実家に3年間放置していた車検切れの車を売却しました。
「正直、廃車費用を払わないといけないと思っていました。でも、複数の買取業者に査定してもらったら、なんと15万円で買い取ってもらえたんです。車検が残っている同型車と比べても、2万円程度しか差がありませんでした」(Aさん)
このように、車検切れだからといって極端に安くなることはありません。
2. 車検切れが査定額に与える影響の真実
実際の査定額への影響は軽微
日本自動車査定協会(JAAI)が定めている査定基準によると、24か月の車検期間が残っている場合でも、査定時の加点数は高い分類において70点、軽自動車の場合には30点となります。1点につき約1,000円となるので、最高でも約70,000円のプラスという計算になります。
車種分類 | 車検残24ヶ月の加点 | 金額換算 |
---|---|---|
特・Ⅰクラス | 70点 | 約7万円 |
Ⅱ・Ⅲ・Ⅳクラス | 50点 | 約5万円 |
軽自動車 | 30点 | 約3万円 |
車検を通してから売るのは損!
車検の費用は10万円ほどはかかることが多いです。売却前に車検を通して費用を払う方が損をしてしまうのです。
車検費用の内訳(コンパクトカーの例)
法定費用
- 自動車重量税:24,600円
- 自賠責保険料:17,650円(24ヶ月)
- 印紙代:1,800円 小計:約44,000円
車検基本料金・整備費用
- 24ヶ月点検:20,000円~30,000円
- 車検代行手数料:10,000円~15,000円
- 整備費用:20,000円~50,000円 小計:約50,000円~95,000円
合計:約94,000円~139,000円
つまり、車検を通すために10万円以上支払っても、査定額は最大でも7万円程度しか上がらないため、3万円以上の損失となってしまいます。
3. 車検切れの車を売る3つの方法
方法1:出張買取(最もおすすめ!)
車検切れの車を売る際は、出張買取を利用するのがおすすめです。
メリット
- 自宅まで査定に来てくれるため、違法行為のリスクゼロ
- 複数業者の査定を効率的に受けられる
- その場で価格交渉が可能
- 引き取りも業者が手配
デメリット
- 断りづらい雰囲気になることも
- 査定日時の調整が必要
方法2:仮ナンバーを取得して持ち込み
仮ナンバー(自動車臨時運行許可)を取得すれば、一時的に公道を走行できます。
仮ナンバー取得の流れ
- 市区町村の窓口で申請
- 必要書類の提出
- 車検証
- 自賠責保険証明書(有効なもの)
- 運転免許証
- 印鑑
- 手数料750円を支払い
- 最長5日間の使用許可
注意点
- 自賠責保険が切れている場合は、先に加入が必要(約6,000円/月)
- 使用期限と経路の制限あり
- 返却義務あり(5日以内)
方法3:積載車での運搬を依頼
買取業者によっては、積載車(キャリアカー)での引き取りサービスを提供しています。
特徴
- 完全に合法的な移動方法
- 手間がかからない
- 費用が発生する場合がある(5,000円~20,000円)
4. 絶対に避けるべき!車検切れの車での公道走行
重い罰則が待っている
車検切れでの運転は6点の違反点数と30日免許停止、さらに6か月以下の懲役または30万円以下の罰金が課されるという重大な違反行為です。
違反内容 | 罰則内容 |
---|---|
無車検運行 | ・違反点数6点<br>・30日間の免許停止<br>・6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金 |
無車検+無保険 | ・違反点数6点<br>・90日間の免許停止<br>・1年6ヶ月以下の懲役または80万円以下の罰金 |
なぜすぐにバレるのか
現在、全国の主要道路には「Nシステム」と呼ばれるナンバー自動読取装置が設置されています。国土交通省による「ナンバー読取装置による無車検車両実態調査結果」(平成28年度調査結果)によると読取車両全体の0.27%(1,083台)が無車検車だったことが判明しており、該当車両には指導ハガキが送付されます。
事故を起こした場合の悲惨な結末
もし車検切れの車で事故を起こしてしまった場合:
- 保険が使えない可能性
- 任意保険の約款に「無車検での事故は補償対象外」と記載されている場合がある
- 自賠責保険も切れていれば、損害賠償は全額自己負担
- より重い処分
- 通常の事故の罰則に加え、無車検・無保険の罰則も加わる
- 人身事故の場合は自動車運転死傷行為処罰法違反の対象になることも
<a id=”documents”></a>5. 売却に必要な書類一覧
普通車の場合
書類名 | 入手方法 | 注意事項 |
---|---|---|
車検証(自動車検査証) | 車内保管 | 紛失時は運輸局で再発行(300円) |
自賠責保険証明書 | 車内保管 | 期限切れでも必要 |
自動車リサイクル券 | 車内保管 | 紛失時は再発行不要(システムで確認可) |
自動車税納税証明書 | 車内保管または県税事務所 | 最新年度分が必要 |
実印 | – | 印鑑登録済みのもの |
印鑑登録証明書 | 市区町村役場 | 発行から3ヶ月以内のもの2通 |
譲渡証明書 | 買取業者が用意 | – |
委任状 | 買取業者が用意 | – |
軽自動車の場合
軽自動車の場合は、実印と印鑑登録証明書が不要で、認印でOKです。その他の書類は普通車と同じです。
編集部からのアドバイス
「印鑑登録証明書は2通必要になることが多いので、役所に行く際はまとめて取得しておきましょう。また、車検証と自賠責保険証明書はセットで保管されていることが多いので、グローブボックスを確認してみてください」(編集部)
6. 高額査定を実現する5つのポイント
ポイント1:早めの売却が鉄則!
車検が切れたからといって車を走らせず放置しておくと、エンジンやバッテリーなどの状態がどんどん悪くなっていきます。
放置による劣化の例
- バッテリー上がり(3ヶ月~)
- タイヤの変形(6ヶ月~)
- エンジンオイルの劣化(1年~)
- ゴム部品の硬化(1年~)
- サビの発生(環境による)
ポイント2:査定前の清掃は必須
査定士も人間です。きれいな車の方が「大切に乗られていた」という印象を与え、査定額アップにつながります。
清掃のポイント
- 外装:洗車とワックスがけ
- 内装:掃除機をかけ、シートの汚れを除去
- 臭い:消臭スプレーで車内の臭いを除去
- トランク:不要な荷物は片付ける
ポイント3:複数の買取業者で競合させる
1社だけの査定では適正価格かどうか判断できません。最低でも3社以上の査定を受けることをおすすめします。
一括査定サービスの活用
- 一度の入力で複数社に査定依頼
- 買取業者同士の競争で査定額アップ
- 出張査定の日程調整も効率的
ポイント4:売却の意思を明確に伝える
本気で売却する意思を明確に伝えることが大切です。「今日決めたい」という姿勢を見せることで、業者も本気の査定額を提示してきます。
ポイント5:査定のタイミングを見極める
高く売れやすい時期
- 1~3月:年度末の需要期
- 9月:半期決算時期
- ボーナス後:購入需要が高まる
避けるべき時期
- 4月:自動車税の課税時期
- 年末年始:市場が停滞
7. 車検切れの車の買取の流れ
STEP1:買取業者の選定(1日目)
- 一括査定サイトで申し込み
- 複数の買取業者から連絡
- 出張査定の日時を調整
STEP2:出張査定の実施(2~3日目)
- 必要書類の準備
- 車の清掃
- 査定士による現車確認(約30分)
- 査定額の提示
STEP3:価格交渉と契約(査定当日~1週間以内)
- 各社の査定額を比較
- 最高額の業者と交渉
- 売買契約の締結
- 必要書類の受け渡し
STEP4:車両の引き渡し(契約から3~7日後)
- 積載車での引き取り
- 最終確認
- 車両と鍵の引き渡し
STEP5:入金確認(引き渡しから2~7日後)
- 指定口座への振込
- 入金額の確認
- 取引完了
8. よくあるトラブルと対処法
トラブル1:契約後の減額要求
事例 「引き渡し後に『事故歴が見つかった』と言われ、10万円の減額を要求された」
対処法
- 契約書に「契約後の減額なし」の条項があるか確認
- 査定時の状況を詳細に記録(写真撮影推奨)
- 不当な減額要求には応じない
トラブル2:入金の遅延
事例 「1週間で振り込むと言われたのに、2週間経っても入金がない」
対処法
- 契約書の入金期日を確認
- 買取業者に連絡し、理由を確認
- 必要に応じて消費生活センターに相談
トラブル3:必要書類の不備
事例 「印鑑登録証明書の有効期限が切れていて、再度役所に行く羽目に」
対処法
- 事前に必要書類リストを確認
- 有効期限のある書類は直前に取得
- 予備を含めて準備
編集部からの注意喚起
「大手買取業者や、オリコン顧客満足度調査で上位の業者を選ぶことで、トラブルのリスクを大幅に減らせます。極端に高い査定額を提示する業者には注意が必要です」(編集部)
9. 編集部がおすすめする買取業者の選び方
信頼できる買取業者の特徴
- 実績と規模
- 全国展開している大手買取業者
- 買取実績を公開している
- 上場企業または大手企業のグループ会社
- 透明性の高さ
- 査定基準を明確に説明
- 契約書の内容が分かりやすい
- 減額なしを保証
- サービスの充実度
- 無料出張査定
- 車検切れ車両の無料引き取り
- 迅速な入金対応
- 顧客満足度
- オリコン満足度調査での評価
- 口コミサイトでの評判
- リピーター率の高さ
避けるべき買取業者の特徴
- 極端に高い査定額を最初に提示
- 契約を急かす
- 契約書の説明が不十分
- 小規模で実績が不明
- 悪い口コミが多い
編集部おすすめの査定方法
- まず一括査定サイトを利用
- 効率的に複数社の査定を受けられる
- 買取相場が把握できる
- 上位3社で詳細査定
- 概算査定額の上位3社に絞る
- 同日に査定を受けて即日比較
- 交渉は冷静に
- 他社の査定額を材料に交渉
- 即決せず一度持ち帰って検討
10. まとめ:車検切れでも諦めない!
車検切れの車でも、適切な方法を選べば問題なく売却できることがお分かりいただけたでしょうか。
押さえておくべきポイント
✅ 車検切れでも買取は可能
- 査定額への影響は最大7万円程度
- 車検を通してから売るのは損
✅ 絶対に公道を走らない
- 重い罰則と事故時のリスク
- 出張買取の利用が最も安全
✅ 早めの行動が高額査定のカギ
- 放置による劣化を防ぐ
- 複数社での査定で相場を把握
✅ 信頼できる買取業者を選ぶ
- 大手・実績のある業者
- 契約内容の透明性を重視
最後に:編集部からのメッセージ
車検切れは決して珍しいことではありません。大切なのは、その後の対応です。違法行為をせず、適切な方法で売却すれば、思わぬ臨時収入になることもあります。
この記事を参考に、安全かつお得に車検切れの車を売却していただければ幸いです。
もし売却について不安や疑問がある場合は、信頼できる買取業者に相談してみてください。プロのアドバイスを受けることで、より良い選択ができるはずです。
【免責事項】本記事の情報は2025年7月時点のものです。法令や制度は変更される可能性がありますので、最新の情報は関係機関にご確認ください。